扱う対象の広汎さに比して四六判300ページでは、いささか物足りないのは致し方無く、それ故に却って西洋中世の基礎知識を欠くと、少し厳しいかも知れません。
訳者は史学ではなく文学畑の人間のため、「贖宥状」を「免罪符」、ジョン「欠地王」を「失地王」(「 サン テール」、そのまま「無地王」とした方がマシ)といった凡ミスを数々犯しています。「ドゥーブル」金貨は本当に「2ドゥニエ」ですか?「2リーヴルもしくはフラン」では?(12ドゥニエ=1スー、20スー=1リーヴル)。最もいただけないのは、「ネーデルラント」とすべき所を「オランダ」と訳していると思われる点で、これでは現在の「ベルギ―」にあたる地域(むしろこちらの方が重要)を除外し、何より中世においては「オランダ」「ベルギー」共に存在しなかったのですから、「アナクロニスム」も甚だしいと言わざるを得ません。
そもそも、本当に一人の人間が翻訳したのでしょうか?ある所では「免罪符」、別の所では「贖宥状」。「ブラバント」、「ブラバン」。「ドゥカート」、「デュカット」等々。文脈により語を選択した形跡は、認められません。「細部にまで目を通し、・・・的確な指摘を」編集者はした、と「銀杏並木の色づき始めた横浜、日吉にて」あとがきに記していますが・・・。藤原書店からは他にもブローデル等を翻訳していますが、大丈夫・・・かなぁ。
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中世と貨幣 〔歴史人類学的考察〕 単行本 – 2015/12/23
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“貨幣"は近代の産物である――中世史の泰斗による貨幣論の決定版!
『中世の高利貸』において、K・ポランニーを参照しつつ、高利貸の姿を通じて、社会に埋め込まれた“経済"のありようを素描した中世史の泰斗が、ついに貨幣そのものを俎上に載せる。宗教との相剋のなかでの貨幣による社会的結合の深化と、都市・国家・資本主義の胎動を描く、アナール派による貨幣論の決定版。
-----
謝辞
序
第1章 ローマ帝国とキリスト教化の遺産
第2章 カール大帝から封建制へ
第3章 12世紀末から13世紀初頭にかけての貨幣の急増
第4章 貨幣の最盛期としての13世紀
第5章 13世紀の商業革命における交易、銀、貨幣
第6章 貨幣と揺籃期の国家
第7章 貸付、債務、高利貸し
第8章 新たな富と貧困
第9章 13世紀から14世紀へ、貨幣の危機
第10章 中世末期における税制の完成
第11章 中世末期の都市、国家、貨幣
第12章 14、15世紀の物価、賃金、貨幣
第13章 托鉢修道会と貨幣
第14章 ユマニスム、メセナ、金銭
第15章 資本主義か愛徳か
結論
訳者あとがき/原注/参考文献一覧/人名索引
『中世の高利貸』において、K・ポランニーを参照しつつ、高利貸の姿を通じて、社会に埋め込まれた“経済"のありようを素描した中世史の泰斗が、ついに貨幣そのものを俎上に載せる。宗教との相剋のなかでの貨幣による社会的結合の深化と、都市・国家・資本主義の胎動を描く、アナール派による貨幣論の決定版。
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謝辞
序
第1章 ローマ帝国とキリスト教化の遺産
第2章 カール大帝から封建制へ
第3章 12世紀末から13世紀初頭にかけての貨幣の急増
第4章 貨幣の最盛期としての13世紀
第5章 13世紀の商業革命における交易、銀、貨幣
第6章 貨幣と揺籃期の国家
第7章 貸付、債務、高利貸し
第8章 新たな富と貧困
第9章 13世紀から14世紀へ、貨幣の危機
第10章 中世末期における税制の完成
第11章 中世末期の都市、国家、貨幣
第12章 14、15世紀の物価、賃金、貨幣
第13章 托鉢修道会と貨幣
第14章 ユマニスム、メセナ、金銭
第15章 資本主義か愛徳か
結論
訳者あとがき/原注/参考文献一覧/人名索引
- 本の長さ328ページ
- 言語日本語
- 出版社藤原書店
- 発売日2015/12/23
- ISBN-10486578053X
- ISBN-13978-4865780536
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商品の説明
出版社からのコメント
本書で取り上げる主要テーマは二つある。一つは、中世の経済、生活、心性において貨幣というもの、あるいはむしろさまざまな貨幣がいかなる境遇にあったか、ということ。そしてもう一つは、宗教が支配的な社会の中で、キリスト教徒としてあるべき貨幣に対する態度やその使い道について、キリスト教がどのように考え、それを説いていたか、ということである。
第一の点については、中世を通じて、貨幣の流通量はごく限られており、そして何よりその種類が細分化し、多様であったと考えられる。そして、この貨幣の細分化こそ、経済的停滞状態から脱するのを困難にした原因の一つなのである。第二の点については、個人であれ、国家であれ、貨幣を求め、使用することが次第に正当化されるようになったのが認められるが、それは正当化の条件を定め、運用する機関であった教会が提示する条件を無視してのことであった。
(序より)
第一の点については、中世を通じて、貨幣の流通量はごく限られており、そして何よりその種類が細分化し、多様であったと考えられる。そして、この貨幣の細分化こそ、経済的停滞状態から脱するのを困難にした原因の一つなのである。第二の点については、個人であれ、国家であれ、貨幣を求め、使用することが次第に正当化されるようになったのが認められるが、それは正当化の条件を定め、運用する機関であった教会が提示する条件を無視してのことであった。
(序より)
著者について
●ジャック・ル=ゴフ(Jacques Le Goff, 1924-2014)
中世史家、『アナール』編集委員。
南仏のトゥーロン生まれ。青年時代を第二次大戦の戦火の中で過ごしたのち、高等師範学校に進学。在学中、プラハのカレル大学に留学。1950年、高等教育教授資格試験に合格。このときブローデルやモーリス・ロンバールが審査委員を務め、これがアナール派の歴史家たちに出会う最初の機会となる。以後、ソルボンヌのシャルル=エドモン・ペランの指導下で博士論文を準備するかたわら、アミアンのリセ、国立科学研究所、リール大学文学部にポストを得、またこの間、オックスフォード大学リンカーン・カレッジ、ローマ・フランス学院へ留学。
1959年、アナール派が中心となって組織される高等研究院第六部門に入り、以後、フェーヴル、ブロック、ブローデルらのあとを受け、アナール派第三世代のリーダーとして活躍。1969年、ブローデルのあとを受けて、エマニュエル・ル=ロワ=ラデュリ、マルク・フェローとともに『アナール』誌の編集責任者となる。
1972年、ブローデルの後任として第六部門部長となる。1975年、高等研究院第六部門の社会科学高等研究院としての独立に尽力。 邦訳著書に『煉獄の誕生』(法政大学出版局)『中世の夢』(名古屋大学出版会)『ル・ゴフ自伝』(法政大学出版局)『聖王ルイ』(新評論)『中世とは何か』『中世の身体』『ヨーロッパは中世に誕生したのか?』(藤原書店)など。
●井上櫻子(いのうえ・さくらこ)
1977年生。パリ第4大学博士課程修了。慶應義塾大学文学部准教授。専攻は18世紀フランス文学。著書に『ルソーを学ぶ人のために』(共著、世界思想社、2010年)。共訳書に『ブローデル歴史集成』III(藤原書店、2007年)『叢書「アナール 1929-2010」』第I~IV巻(藤原書店、2010-2015年)など。
中世史家、『アナール』編集委員。
南仏のトゥーロン生まれ。青年時代を第二次大戦の戦火の中で過ごしたのち、高等師範学校に進学。在学中、プラハのカレル大学に留学。1950年、高等教育教授資格試験に合格。このときブローデルやモーリス・ロンバールが審査委員を務め、これがアナール派の歴史家たちに出会う最初の機会となる。以後、ソルボンヌのシャルル=エドモン・ペランの指導下で博士論文を準備するかたわら、アミアンのリセ、国立科学研究所、リール大学文学部にポストを得、またこの間、オックスフォード大学リンカーン・カレッジ、ローマ・フランス学院へ留学。
1959年、アナール派が中心となって組織される高等研究院第六部門に入り、以後、フェーヴル、ブロック、ブローデルらのあとを受け、アナール派第三世代のリーダーとして活躍。1969年、ブローデルのあとを受けて、エマニュエル・ル=ロワ=ラデュリ、マルク・フェローとともに『アナール』誌の編集責任者となる。
1972年、ブローデルの後任として第六部門部長となる。1975年、高等研究院第六部門の社会科学高等研究院としての独立に尽力。 邦訳著書に『煉獄の誕生』(法政大学出版局)『中世の夢』(名古屋大学出版会)『ル・ゴフ自伝』(法政大学出版局)『聖王ルイ』(新評論)『中世とは何か』『中世の身体』『ヨーロッパは中世に誕生したのか?』(藤原書店)など。
●井上櫻子(いのうえ・さくらこ)
1977年生。パリ第4大学博士課程修了。慶應義塾大学文学部准教授。専攻は18世紀フランス文学。著書に『ルソーを学ぶ人のために』(共著、世界思想社、2010年)。共訳書に『ブローデル歴史集成』III(藤原書店、2007年)『叢書「アナール 1929-2010」』第I~IV巻(藤原書店、2010-2015年)など。
登録情報
- 出版社 : 藤原書店 (2015/12/23)
- 発売日 : 2015/12/23
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 328ページ
- ISBN-10 : 486578053X
- ISBN-13 : 978-4865780536
- Amazon 売れ筋ランキング: - 906,070位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,557位歴史学 (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年3月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年12月31日に日本でレビュー済み
価値尺度としての貨幣を英語ではmoney of account、仏語ではmonnaie de compteと呼びます。日本語訳としては計算貨幣が適当ですが、本書の中では稀に会計貨幣と訳されていたりします。確かに文言を直訳すればそうなりますが、少なくとも私は会計貨幣という呼び方は聞いたことがありません。
歴史学的な誤訳については既に他の方によって指摘されていますが、いくら仏語訳ができる人が少ないからといって、仏文学が専門の方に中世史・貨幣史の書を訳させるのは無理があるように思います。
読後感としては、経済や貨幣そのものの歴史というより貨幣を巡る人々の価値観や社会情勢の変化がメインとして書かれていたように思いました。ル=ゴフ氏は中世史においてはかなり権威のある学者で、歴史学の素養があまりない私にとっては非常に示唆に富んだ内容でしたが「中世に経済は存在しない」というような文言も文中にあるように、経済学的な内容を求めている人には物足りないでしょう。
商業を本質的に不道徳とする中世カトリック教会がどのように貨幣の普及を認めていったか、という本書の後半部分が個人的には最も興味深かったです。
歴史学的な誤訳については既に他の方によって指摘されていますが、いくら仏語訳ができる人が少ないからといって、仏文学が専門の方に中世史・貨幣史の書を訳させるのは無理があるように思います。
読後感としては、経済や貨幣そのものの歴史というより貨幣を巡る人々の価値観や社会情勢の変化がメインとして書かれていたように思いました。ル=ゴフ氏は中世史においてはかなり権威のある学者で、歴史学の素養があまりない私にとっては非常に示唆に富んだ内容でしたが「中世に経済は存在しない」というような文言も文中にあるように、経済学的な内容を求めている人には物足りないでしょう。
商業を本質的に不道徳とする中世カトリック教会がどのように貨幣の普及を認めていったか、という本書の後半部分が個人的には最も興味深かったです。
2016年2月1日に日本でレビュー済み
ル=ゴフはアナール派に属する西欧中世研究の泰斗である。彼が今回取り上げたのは(原著2010年)、中世における貨幣である。貨幣はローマ帝国で盛んに使われた後、帝国崩壊による経済低迷のため12世紀に至るまでほとんど用いられなかった。しかし、13世紀に入り経済や商業、都市の興隆とともに徐々に貨幣の流通や鋳造が回復してきた。農村での年貢も貨幣によるようになって行ったし、教会による大聖堂建設も貨幣の必要性を増大させた。貨幣としてはヨーロッパ域内で生産される銀が主で、スーダンから来る金はあまりに希少であった。補助的に銅貨も少額取引に用いられていた。商業が発達すると、融資、当時の言葉で言えば高利貸しが発達してくるが、これが聖書の文言とぶつかる(高利貸しと言えばユダヤ人であるが、これは近代のイメージで実はキリスト教徒がほとんど)。これを調和させるために、いくつかの策が講じられるが、そのひとつが煉獄の発明である。高利貸しが直接地獄行きになるのを防ぐ中間地帯の発明で、死後に財産を寄付することで天国行きを実現することができるようになった。中世とは、”天上の価値観が地上に降りてきた時代”なのである。ただし、フランチェスコ会のように、金銭を敵視する勢力もまた強かった。さらに、海上交易の難破による過大なリスクも融資を合理化せざるを得ない動機のひとつだった。
14世紀には、ヨーロッパ域内でも金山が開発され、金銀複本位制のような状態になった。しかし、ペストや飢餓により人口が減少し、14-5世紀には経済は停滞した。ただし、信用取り引きや債券、保険の萌芽もこの世紀には見られた。勃興しつつあった国家も税制を立ち上げつつあったが、民衆の抵抗もあり、なかなかうまく定着しなかった。
最終章では、著者は15世紀までの中世には資本主義はなかったという立場を取る。その根拠はいくつかあるが、証券取引所が初めてアムステルダムで確立したのが1609年であることを最重要視する。ポランニーに倣い、中世には独立した経済現象なる物は存在せず、宗教に支配された全体に組み込まれていた、という説に賛同する。中世では、貨幣経済が進んできたが、その本質はカリタス(愛徳)に基ずく贈与経済なのだ。同じ貨幣という物を見る心性が現在とは全く異なるのが中世人なのだから、文化人類学的な接し方が必要だとされる。
具体性に満ちた叙述により、中世に生きた人々の心性を探る著作であり、各章扉にふされた各種建築物、絵画の写真が想像力を刺激する。
14世紀には、ヨーロッパ域内でも金山が開発され、金銀複本位制のような状態になった。しかし、ペストや飢餓により人口が減少し、14-5世紀には経済は停滞した。ただし、信用取り引きや債券、保険の萌芽もこの世紀には見られた。勃興しつつあった国家も税制を立ち上げつつあったが、民衆の抵抗もあり、なかなかうまく定着しなかった。
最終章では、著者は15世紀までの中世には資本主義はなかったという立場を取る。その根拠はいくつかあるが、証券取引所が初めてアムステルダムで確立したのが1609年であることを最重要視する。ポランニーに倣い、中世には独立した経済現象なる物は存在せず、宗教に支配された全体に組み込まれていた、という説に賛同する。中世では、貨幣経済が進んできたが、その本質はカリタス(愛徳)に基ずく贈与経済なのだ。同じ貨幣という物を見る心性が現在とは全く異なるのが中世人なのだから、文化人類学的な接し方が必要だとされる。
具体性に満ちた叙述により、中世に生きた人々の心性を探る著作であり、各章扉にふされた各種建築物、絵画の写真が想像力を刺激する。